1.ポケット穿刺:コンセプト

ここではCVポート(皮下埋め込み型ポート)の挿入過程で、エコーガイド下穿刺がどのように応用できるかについて、提案します。

CVポートの埋め込みは継続的な化学療法を行うときなどが適応になります。

CVポートの埋め込みは鎖骨下静脈または腋窩静脈からカテーテルを挿入し、前胸部に皮下ポケットを作成してポート本体を埋め込むのが一般的です。

出典:メディコン 化学療法サポート

手順は①鎖骨下_腋窩静脈穿刺を実施してカテーテルまで挿入②前胸部に皮下ポケットを作成③皮下トンネルからトンネラーでカテーテル入り口まで道を作る④カテーテルを皮下に通してポートと接続⑤ポートを皮下ポケットに埋め込んで皮下組織または大胸筋筋膜に縫合固定⑥皮下組織と皮膚を縫合する、となります。

体表面から穿刺をするときにエコーガイド下_鎖骨下_腋窩静脈穿刺で実施するのは、安全性確実性向上に役立つと思います。

それに加え、もう一歩進めた方法について解説します。

最初に体表面を穿刺すると、最終的にはカテーテルもポートも埋め込まれますが、刺入した傷が残ります。これは感染のチャンスを増やしていることになります。
また、挿入したカテーテルを皮下ポケットに誘導するにはトンネラーで皮下トンネルを作ることになりますがその処置はやや侵襲的です。
こうした短所がCVポート埋め込みにはありますが、これを改善する方法として、ポケット穿刺が考えられます。

2. ポケット穿刺:手順

  1. プレスキャンで穿刺の適否を判断し、問題なければ刺入点の目星をつける。
  2. その刺入点から適正な距離になるようにポケットの位置を決め、先にポケットを作成する。
  3. ポケットが作成できたら、そのポケットの中に滅菌プローブカバーを装着したエコープローブを入れ込んで、目星を付けた部位の静脈を描出し、ポケットの中からエコーガイドで穿刺する。穿刺方法はフリーハンドの長軸像穿刺か斜位像穿刺が適している。短軸像穿刺はプローブ操作に制限が発生するためにやりにくい。

  4. または、プローブは体表面から当てて、穿刺はポケットの中から行う。この場合は短軸像穿刺の方が適している。
  5. ガイドワイヤー、ダイレータ、カテーテルの挿入まで行いポケットからカテーテルを出すようにする。これでトンネル作成は不要になる。
  6. カテーテルとポートを接続し、ポートの固定、創部の縫合を行う。

3. ポケット穿刺:長所と短所

この手法は穿刺時の傷の数が減り、エコーガイド下穿刺の利点がでるスマートな方法ですが、技術的難易度は高くなります。

長所

  • 穿刺で生じる皮膚上の傷が減るので感染リスクが低下すると考えられる。
  • トンネラーでの皮下トンネルは作成不要になる。
  • 体表から静脈まで深く体表からの穿刺が困難な肥満者では、ポケットからの穿刺の方が穿刺距離が短くなるために穿刺成功確率が高くなる。

短所

  • 穿刺の自由度が狭くなるために技術的難易度が高い。
  • 血管からポケットまで距離が長く取れないので、ポケットの位置に制限が生じる。
  • 長い皮下トンネルの作成ができない。
  • ポケットの作成後に穿刺をすることになるので、穿刺不成功が許容されない。
  • 大きいプローブだとポケットにおさまらない。
  • ポケットの作成位置、穿刺方法など、かなり経験を積む必要がある。
  • 穿刺針の刺入点が見えにくく、穿刺が難しくなり、プローブカバーを穿刺するリスクもある。