ガイドワイヤー確認の重要性

エコーガイド下穿刺が成功したあと、ガイドワイヤーを挿入する手順になります。実のところ、このガイドワイヤーの挿入手順がCVCの最重要ポイントです。穿刺に成功すれば終わり、ではなく、ガイドワイヤーが正常に挿入されることでカテーテルが留置できるわけですから。

このガイドワイヤー挿入時にトラブルが起きやすいことも最重要ポイントの理由です。穿刺成功後からガイドワイヤーが留置されるまでの間に穿刺針が抜けてしまったり、後壁を穿通して動脈内や組織内にガイドワイヤーが挿入留置されてしまい、それに気付かずにいると、ダイレータ、カテーテルの挿入まで進行し、血管外留置、迷入動脈カニュレーションなどとなってしまうかもしれません。緊急時であれば通常の薬剤投与や蘇生はできなくなり、患者の救命確率は確実に低下します。長時間気づかず放置された場合は、出血性ショックや神経障害に発展することもあり得ます。それらは絶対に避けたいことです。

こうしたCVC関連の有害事象を防止するためには、ガイドワイヤーが正常に挿入されているかどうかの確認が、非常に、決定的に重要です。その確認方法としてX線透視下操作であれば、正常解剖がきちんと理解されている前提では、処置後の静止画像1枚よりもガイドワイヤーの進行過程をリアルタイムで見られるので、かなり確実になります。X線透視下操作は、その意味でとても大切なデバイスです。

しかし非透視下で処置せざるを得ない場合も当然あり、その場合はエコーを使って確認することが有用です。ガイドワイヤーの挿入部から中枢にかけてスキャンし、ガイドワイヤーが目標の静脈内にあることを確認する、これだけでかなり確実性は向上します。ただし、ガイドワイヤーの全長や先端位置は確認できません。そうした限界はありますが、ガイドワイヤーの静脈内留置を確認する簡便な方法であるため、このプロセスは非透視下で行うエコーガイド下穿刺CVCでは必須といえます。それをここではポストスキャンと表現します。ポストスキャンで静脈内のガイドワイヤーを確認する手順は、以下の2つ方法で行います。

短軸像と長軸像の2方向で描出する

図は右内頚静脈に金属コイルのガイドワイヤー(径0.018インチ)が挿入されたところを短軸・長軸で描出しているところです。短軸では高輝度な点として見えますが、ガイドワイヤーが細い場合は点が小さいので確認に手間取ることがあります。それでも長軸に回してみると通常きれいに描出されます。

ただし長軸像では血管内にガイドワイヤー存在していることを確認するだけでは十分ではありません。ガイドワイヤーが血管の前壁から入って後壁に沿ってゆるくカーブしているところを確認することが重要です。その理由は、もし前壁から後壁側にガイドワイヤーが直線化して見えた場合、後壁をガイドワイヤーが貫いている可能性が考えられるからです。後壁側に沿ってカーブしていればその可能性は極めて低くなります。短軸と長軸の両方の軸で描出することの意義がここにあります。

右鎖骨下穿刺の場合、ガイドワイヤーが右内頚静脈へ迷入する確率が比較的高いことが問題になります。このガイドワイヤーの位置異常がわからないと、カテーテルも右内頚静脈に留置されてしまうことになります。X線透視下で処置ができない場合、右鎖骨下穿刺のポストスキャンでは、鎖骨下から腋窩静脈内のガイドワイヤーを確認することに加え、右頚部をスキャンし内頚静脈内にガイドワイヤーがないことを確認しカテーテルの迷入を防止しましょう。具体的方法はいくつかあります。

  1. 穿刺前にあらかじめ頚部まで消毒し、ドレープが頚部にかからないように置くか、ドレープの穴を広げてから置く。ガイドワイヤー挿入後、頚部にエコーを当てて内頚静脈を描出し、内部にガイドワイヤーが存在していないことを確認する。
  2. ガイドワイヤー挿入後、助手にドレープの下から右頚部にエコーゼリーを少量塗ってもらい、ドレープの透明な部分の上からエコーを当てて内頚静脈内にガイドワイヤーがないことを確認する。

ガイドワイヤーに動きを与える

細いガイドワイヤーだとエコーの描出が不鮮明になりがちで、確認しづらくなります。特に壁に接している場合はさらに見にくくなります。

そのような場合、ガイドワイヤーを明瞭に確認するために、ガイドワイヤーを前後に少し揺すって動きを与えるとよいでしょう。このとき動脈の壁や後壁側の周辺組織だけが動くようなら静脈外に留置された可能性を考えて慎重に再評価する必要があります。静脈内の正常留置に確信が持てないようなら、再試行もやむを得ません。

ポストスキャンの方法:動画

ポストスキャンの手元とエコーの画像を示します。

エコーガイド下CVC_ポストスキャン_右内頚静脈_実際例