非カフ型透析用カテーテル(ブラッドアクセスカテーテル、ショルドンカテーテル、FDL;flexible double lumen catheter)の留置はCVC類似処置ですが、体外循環をするためカテーテル径が太いという特徴があり、カテーテル屈曲や壁当たりによる脱血不良を回避するため直線的なアクセスルート、すなわち右内頚静脈か右大腿静脈からのアプローチがスタンダードとなっています。

しかし重症患者では、その2つの穿刺挿入部位がすでにほかのカテーテル(CVカテーテル、Swan-Ganzカテーテル、V-A ECMO、IABPなど)で占拠されているケースがしばしばあり、透析用カテーテルの穿刺挿入部位の選択に苦慮することも珍しくありません。鎖骨下からアプローチすることもできますが、将来のシャント増設の含みもあり、そこはなるべく避けたい。とすると、あとは左内頚静脈が選択肢になりますが、ここから上大静脈まではけっこう距離があり、頚部用の16cmのカテーテルでは通常届かず、高頻度で脱血不良になるために避けられてきました。そこで、左内頚静脈から大腿用の25cmのカテーテルを挿入できないか?そうすればちょうど上大静脈に留置できるのでは?と考えました。ただし、左内頚静脈からのアプローチは、左鎖骨下静脈との合流点と左腕頭静脈と上大静脈の合流点の2箇所で屈曲点があり、脱血不良のハイリスクです。しかし最近の硬度傾斜タイプの柔らかい透析用カテーテルならば大丈夫では?胸部レントゲン写真で左頚部から上大静脈までの経路の、だいたいの距離を測定すると、25cmのカテーテルでぴったりのようでした。

実際にエコーガイド下穿刺で25cmのカテーテルを限界まで挿入してみると、

 

ぴったりでした。その後脱血不良もなく透析は順調に回りました。その後も最後の選択肢として左内頚静脈からの25cmの透析用カテーテルの挿入を何件か行いましたが、特に問題は発生しませんでした。透析用カテーテル留置が困難な場合の、ひとつのブレイクスルーになるかもしれません。