ポイント:局所麻酔は過剰にならないよう、必要最低限で行う。

消毒、ドレーピング後、以下の要領で局所麻酔を実施しています。

  • 造影剤のウォーマーで温めた1%リドカイン(製品名:キシロカイン注ポリアンプ1%)を使用する(人肌に加温すると麻酔液注入時の疼痛が緩和される傾向がある)。CVCでの局所麻酔は5mlのポリアンプで必要十分である。
  • キシロカイン注ポリアンプ1%®から麻酔剤を抜き取る際の手順は、添付文書通りの要領で行う。ポリアンプに空気を注入したり、容器を握って麻酔液を押し出したりすると液が漏れ、場合によっては不潔操作になる危険性があるので、してはいけない。シリンジを接続し、そのまま陰圧をかけるだけで、内容液は抜きとれる。ただし、きちんと接続されていないと空気が吸引され、液が抜き取れないので注意する。

  • プローブをあてて目標静脈をとらえつつ、本穿刺刺入点付近と固定の針糸をかける部位を麻酔する(刺入点からやや遠いところから麻酔する)。
  • 血管を刺入していないことを確認しながら進める操作(陰圧)と麻酔液の注入(陽圧)と交互に片手で行う(片手でシリンジの陰圧と陽圧がかけられるようにする)。
  • 痛みは表皮部分だけで、脂肪識・筋肉・静脈周囲はほとんど痛みを感じないので皮下中心の浅いところを3ml前後のごく少量を注射する。
  • 多量に麻酔薬を注入すると皮下が盛り上がり、目標静脈まで遠くなって穿刺が難しくなるので、できるだけ少量を心がける。
  • 麻酔が効いてくるまで、すなわち皮膚の感覚が鈍くなるまでしばらく待つ。
  • ダイレータの先端などで刺入予定部位を少し圧迫し、感覚が鈍麻しているかどうか確認する。
  • 麻酔液による副反応が生じていないか自覚症状の有無やバイタルサインを確認する。
  • 局所麻酔の効果が十分に出たことを確認し本穿刺に移る。
  • 疼痛に過敏な患者については局所麻酔の30分~2時間前にリドカインテープ®などの貼付型局所麻酔剤を刺入部に貼付しておいたり(貼付部位の皮膚を濡らしてから貼るとより効果的であるという)、エムラクリーム®を塗布しておくことも有用である。エムラクリームはリドカイン・プロピトカイン配合剤クリームである。

 

出典:ニプロ

 

  • エムラクリームは下図のように厚塗りし(1本5g全部)ラッピングしておく(大きいサージカルテープでもよい)。1-2時間で局所麻酔の注射が不要になるくらい麻酔が効くことがあるが個人差が大きい。2時間くらい置くとかなり麻酔薬が浸透し、ほとんど痛覚が麻痺する印象である。ただし、効果が薄い人もなかにはいる。佐久医療センターでは、5g 1本 935円。

出典:佐藤製薬株式会社 外用局所麻酔剤

  • PICCを穿刺挿入する際、プレスキャンでは静脈径が大きく見えたのに、局所麻酔をしてしまうと、本穿刺する段になって静脈が攣縮spasmし、静脈径が非常に狭小化してしまうことがよくある(「PICC挿入の注意点」参照)。これは痛み刺激に伴う生体の防御反応と理解できる。このspasmが生じると目標が小さくなり穿刺が非常に難しくなってしまう。かといって無麻酔で穿刺するのも忍びないところがある。そこでこの塗布用局所麻酔剤のエムラクリームを両上腕のある程度広い範囲にあらかじめ塗布しておけば、局所麻酔の注射とそれにともなう静脈spasmを惹起せずに穿刺挿入することができる。
  • リドカインテープは面積が小さいため、穿刺ポイントが限定されていないと使い勝手が悪い。

局所麻酔時のリスクはリドカインショックです。頻度はまれですが知っているのと知らないのとでは初動の速度に差が出て、それが患者の予後に直結する可能性があるのでおろそかにはできません。