ポイント:重大合併症を予防する上で、CVカテーテルの適正な管理は重要である。

CVカテーテルの管理方法

CVカテーテルの管理はおもに看護師の仕事の範囲になりますが、各施設でコンセンサスを得た統一基準で実施することが望まれます。
管理中に発生したバイタルサインの変化、新しい訴え、データの異常などは、重大事故の前兆の可能性があります。CVCにおける機械的合併症は、実施後数時間から数日してから発覚するものもあり、注意深い観察が要求されます。状態変化が見られれば、その情報はできるだけ早く看護師→病棟→医師と情報共有し原因検索/対応をすべきです。「とりあえず経過観察」では手遅れになってしまうかもしれません。CVCの術後に発生するさまざまなトラブルや訴えは各職種が協力し合って解決するように努めることが、合併症の早期発見・早期対処の上では重要になってきます。それが患者安全に直結します。

管理中に発生しうる重大合併症は、接続部はずれや事故抜去による失血空気塞栓深部静脈血栓症/肺塞栓症カテーテル関連血流感染心タンポナーデなどです。

具体的な管理方法などは、佐久医療センターの中心静脈カテーテル挿入管理:看護基準を参考にしてください。

患者への注意事項

CVカテーテル挿入中に患者の側から注意してほしい点としていくつか伝達する場合があります。最も注意してほしいことはカテーテルが事故抜去されることと、先端位置が変わることを避けてほしいということです。口頭では以下のようなことを患者の状態に応じて伝達しています。

  • 歩行中の転倒、点滴台を倒す、ルートをなにかに引っ掛けるなどによりカテーテルが抜けてしまわないように慎重に歩行・移動すること。
  • 寝返りはしてもよいが1回転するとルートが引っ張られるので往復で寝返りを打つよう気を付けること。
  • 過度な運動、特に上肢を振り回すような運動(体操、キャッチボールなど)をするとカテーテル先端が血管壁を傷つける可能性があるため、日常生活での動き(洗顔、洗髪、髭剃りなど)以上のことはしないこと。
  • 睡眠時、上肢を頭の上に置く姿勢で眠るのは避けること(特に肥満者での経験ですが、そうした姿勢を取ると体表面の固定は動かないがカテーテルが徐々に血管内から皮下・脂肪織の方へ引き込まれて抜けてしまう事例を経験しています)。
  • シャワー浴は看護師の処置でカテーテルとカテーテル挿入部の防水的なカバーで対応できるが、浴槽に浸水することは避けること。

マルチルーメンカテーテルのサイドホールの位置

マルチルーメンカテーテルの場合、製品によっていろいろ差がありますが、サイドホールがカテーテル先端より3-5cmほど離れています。ものによってはそれ以上(7cm)離れている場合があり、カテーテルの不全抜去があったときにレントゲン上は先端は血管内にあっても、サイドホールが血管外に出ている可能性も考えられます。少しでも浅くなっていた時に「大丈夫、抜けてない。まだ使える」と安易に考えずにこのサイドホールの位置も勘案し慎重に評価します。サイドホールは一般的に先端よりかなり離れたところに開いていることを基本知識として認識しておきましょう。

重症患者ではCVカテーテル挿入後に浮腫が進行し、皮下の厚みが増してきます。カテーテルを皮膚と縫合固定しておくと光の厚みの増加分だけカテーテルは徐々に血管から抜ける方向にずれてくることになり、X-p上、先端位置が徐々に浅くなっていく現象もしばしば観察されるので注意します。

カテーテル感染時の対応

カテーテル関連血流感染(CRBSI)の疑診例または確定例で、敗血症症状、臓器不全、全身性塞栓症状を伴う場合はCVカテーテルは速やかに抜去し、標準的な抗菌治療をすみやかに開始します。刺入部の局所変化(発赤、化膿)を認める場合にもカテーテル交換を必要とする場合が多いでしょう。局所所見や敗血症を伴わず、新たなラインが取れない場合に限って、ガイドワイヤーを用いたカテーテルの交換を行うという選択肢もありますが、清潔操作が困難なこと、新たなラインがとれない場合がまれであることなどから、実際はほとんど行われていないでしょう。

血液培養からカンジダが分離され、カンジダ血症と診断した場合には特別な対応が必要です。抗真菌薬の投与とともに、眼科医による眼底検査とフォローアップが必須となります。これはカンジダ血症から真菌性眼内炎に進展するリスクが高いからです。適切な治療が行われない場合、鎮静下で視力の異常に気付けない場合、抗真菌薬治療が短期間で終了された場合などで真菌性眼内炎から失明に至る可能性があるため要注意です。

下図は真菌性眼内炎の眼底写真で、眼底の黄白色の円形滲出斑が見られます。

カテーテルの閉塞予防

せっかく留置したCVカテーテルが閉塞してしまったという経験もあると思います。毎日ヘパリンロックしていたのに・・・どうして?特にマルチルーメンのサイドホールは抗生剤や制酸剤などのボーラス投与で使い、ふだんはヘパリン生食や生食でロックしておくことが多く、これが詰まりやすい。これは端的に言って、ヘパリンロックあるいは生食ロックでも同じですが、それらではカテーテルの血栓閉塞は完全には予防できないことを表しています。ルーメンの閉塞を予防するには、ボーラスで使用しているルーメンでも、ごく低流量でよいので(たとえば輸液ポンプの最低値;3ml/hぐらいでもよい)生食や5%ブドウ糖などを持続投与しておくことが有効です。試してみてください。

血栓閉塞したルーメンは、単に「使えなくなった、仕方ない」というだけではなく、その血栓が細菌の培地になり、CRBSIに進展するリスクを抱えることになるのです。つまり、感染対策上、ルーメンの血栓閉塞は極力避けなければならない事象なわけです。血栓閉塞したルーメンがひとつでもあれば、なるべく早くそのカテーテルを抜去するか、入れ替えるように調整しましょう。

=MEMO=

点滴外れ入院の70代女性死亡 ○○病院、過失有無を調査 (2017.11.25 中日新聞)

  • ○○病院で今年4月、内科に入院していた70代女性の点滴チューブが分岐部分で外れ、血液が流出して失血死したことが病院への取材で分かった。同院は県警と日本医療安全調査機構に届ける一方、外部の専門家を入れた調査委員会を設置。県警は病院側に過失がなかったか調べている。
  • 同院によると4月11日午後6時半ごろ、看護師が女性に点滴投与を実施。午後8時にナースステーションのモニターで異常が分かり、同じ看護師が確認に向かったが、既に心肺停止の状態だった。司法解剖で失血死と確認された。
  • 体に刺した針から伸びた点滴のチューブが、中間部分の分岐の差し込み口で外れてベッド脇に垂れ下がり、血液がチューブ内を逆流していた。女性は点滴を受けた当時ほとんど意識がなく、自分で外すことは考えにくい状況だったという。
  • 分岐は別のチューブで薬剤などを追加するために設けられ、ねじ込み部分を十分締めていれば通常は外れない。同院側は「他の病院でも何らかの原因で外れ、死に至らないまでも同様のトラブルが起きていると聞いている」と説明する。

○○が医療ミス、胸腔に点滴液、心停止 (2014.8.28 毎日新聞社)

  • ○○病院は28日、入院患者の心臓につながる血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れた際、誤って血管外に挿入したため、患者が心停止して低酸素脳症となる事故があったと発表した。
  • 病院によると患者は入院中の60代の女性。事故は7月21日午前9時ごろ、栄養補給のために首から血管にカテーテルを挿入する際に起きた。20代の医師2人が挿入したカテーテルが血管外に出て点滴液が胸腔(きょうくう)にたまり、女性はこの日午後11時過ぎに心停止した。女性は現在治療を受けているが、意識不明の状態だという。
  • 女性は午前11時過ぎに胸の違和感を訴えたが、別の医師は心電図などから異常はないと判断。午後6時ごろには呼吸が乱れ始め、酸素吸入で対応した。さらに別の医師が1時間後に診察した際も異常に気付かず放置。女性は同9時ごろに再び胸痛を訴えたため、夜間当直の別の医師が心電図を使って診察したが、不整脈などはなく経過観察にとどめた。
  • 女性は午後11時ごろ容体が悪化し、血液とCTの検査などで事故が分かった。蘇生措置で心拍が再開したが、低酸素脳症の状態が続いている。