ポイント:機材や物品の特性・注意点を事前に把握しておくことは、有害事象防止の基本である。カテーテルキットはセルジンガーキットを使用する。

CVCの実施にはどのような物品が必要で、それらはどういった使い方をするもので、どんな特性があるのかを事前に調べておくことはとても大切です。道具の知識がなく、その道具を使って危険手技を実施するようなことはリスクの上昇をもたらすだけで、プロフェッショナルとはいえません。実際、道具の特性を知らなかったことにより重大事故が発生したケース(たとえばガイドワイヤー遺残など)がしばしば報告・報道されており、ここは重点項目と言えます。

資器材の名称を覚えることも重要で、名称を知らないと介助のナースに「あれ出して」としか言えなくなり、エラーの温床になります。
当センターで採用しているCVC関連物品を示します。


CVCではカテーテルキットはセルジンガーキットを使用することが強く推奨されます。太い穿刺針のスルー・ザ・カニュラキットと比較し、その組織傷害性が小さいことは明らかで、仮に動脈誤穿刺などの合併症が発生したとしても、その傷害程度が低く抑えられることで安全性に寄与します。ただし、ガイドワイヤーの特性や扱い方に習熟しておく必要はあります。スルー・ザ・カニュラキットはリスクが大きいのみで安全性に寄与する特性はなく、今後使用は避けた方がいいでしょう。もしも重大な合併症がそれで発生した場合、より安全性の高い器材があるにもかかわらず・・・・となって、過誤認定される危険があります。この点、メーカーにとっても製造物責任が問われないか、心配になるところです。

カテーテルキットはシングルルーメン、ダブルルーメン、トリプルルーメン、クワッドルーメンのルーメン数で大きく分類されており、ガイドワイヤーの径、穿刺針の太さなどでさらに細かく種類分けされています。非カフ型血液透析用カテーテルは大腿静脈用25cmと内頚静脈用15cmとに大別され、それぞれダブルルーメン、トリプルルーメンがあります。トリプルルーメンは透析用のルーメン以外にもうひとつルーメンがあり、は高カロリー輸液を投与するなど通常のCVカテーテルとして使用できます。

消毒:ヘキザックAL1%

局所麻酔:1%キシロカイン

ヘパリンロック

エコープローブカバー

JMS プラネクタ PNプラグ ブルー

JMS PNプラグ付延長チューブ 130mm  ※CVカテーテルのキャップに上のPNプラグブルーを使用すると、ゆるみ/はずれのリスクが上昇する可能性があるため、この延長チューブを付けることに佐久医療センターのマニュアルは2020年10月に改訂された。

JMS プラネクタ PNロック

テガダーム i.v.コンフォート

透析用(血液浄化用)カテーテル(ブラッドアクセスカテーテル)挿入手技は、CVC手技とほとんど同じですが、カテーテルキットの特性が異なります。穿刺針やガイドワイヤーの径が大きく、ダイレータ、カテーテルが硬く太く長いのが一般的です。この特性により、穿刺挿入時には通常のCVCキットにはないリスクが発生します。その証拠に報道事例においても、ブラッドアクセスカテーテル挿入時の事故は非常に目立っています。このカテーテルを穿刺挿入するにあたっては、ひとつひとつの手順の侵襲性・傷害性が大きいことを十分認識し、リスク回避の方策、たとえばエコーガイド下穿刺やX線透視下挿入など、を十分に検討し実行するべきでしょう。

特に要注意なのはダイレータであり、太さはともかく、不必要に長いのが問題です。体表面から静脈刺入点まで拡張できる長さで必要十分ですが、それ以上に長く、その長さがあるとつい根元まで挿入してしまうことになります。その結果、縦隔の血管の屈曲点で血管を穿通してしまうリスクとなり、大事故に結びついてしまいます。挿入したカテーテル自体も硬い製品があり、静脈壁にカテーテル先端が接していた場合、長期留置中に静脈内膜が傷害され、穿通するというリスクが通常のCVカテーテルより高いと考えられます。この点からブラッドアクセスカテーテル挿入後のカテーテル先端位置の確認には、一般的なCVカテーテルよりもさらに慎重な姿勢が求められます。