ポイント:タイムアウトは単純だが、情報共有によるエラー防止と、「チーム化」効果による緊急時対応に役立つ。

CVCを血管造影室などで実施する場合、病棟看護師が血管造影室スタッフに患者情報を申し送ります。申し送りの内容は、

  • 基礎疾患
  • 意識・精神状態
  • 感染症の既往
  • 全身状態
  • CVCの適応
  • 静脈ラインの有無
  • アレルギーなど各種リスク
  • 服薬状況
  • 抗血小板剤、抗凝固薬投与の有無
  • アルコール・ヨード・ドレシング剤に対する過敏症の有無
  • 特別な配慮が必要な状態
  • 承諾書・同意書とサインの有無

などで、施設内の基準に従って患者情報を伝達します。要するに、CVCを実施する際に何らかのリスクが潜んでいないかどうか確認する作業です。

これらの情報を踏まえて、術者、看護師、診療放射線技師でタイムアウトを行います。血管造影室以外でCVCを実施する場合も、タイムアウトを行うことを推奨します。

「手術医療の実践ガイドライン(改訂版)2013年」には、

チームは,手術開始前にタイムアウトを行い,これからの手術全般の確認を行う」(解説)「安全チェックとしてチームは、皮膚切開の直前に一斉に手を止めて(タイムアウト)、共同で患者名、術式と部位を確認する。術者は、大声で患者の名前、遂行される手術と手術部位の左右を述べる。看護師と麻酔科医は、この情報が正しいことを確認する。

出典:手術医療の実践ガイドライン(改訂版)2013年 第2章手術部医療安全 Ⅱ.具体的安全対策13

とあります。このように手術室では手術前に関係者がすべて集まり、確認作業をすることで手術室の事故防止に役立てる「タイムアウト」を行うことを推奨しています。CVCは医療安全の観点からは「基本的処置」ではなく、「小手術」と位置付けられるべきであり、その位置づけからはCVCでもタイムアウトを励行することが推奨されます。CVポートの埋め込みPICCなどでも同様です。タイムアウトはCVC実施を含め、手術や処置の新しいスタンダードととらえるべきでしょう。

誤認手術防止という意味だけでなく、タイムアウトにより認識していなかったリスクが発見され共有されることも珍しくありません。介助ナースや診療放射線技師など、他職種と相談したり意見を訊いたりすることで別な視点からリスクが発見されたりして、その結果CVCのやり方とか穿刺部位が変更される場合もあります。また、タイムアウトの時に情報共有していることで不測の事態が発生した場合でも即座に「チーム化」することができ、迅速な対応が期待できます。ちょっとしたことですがタイムアウトにはこうした「多職種連携による患者安全の確保」という効用があるので、CVCでも是非取り入れましょう。

当センターでは術前に電子化した「CVC記録票」をチェックしつつ、看護師と術者とで項目を読み合わせてタイムアウトとしています。CVC記録票のサンプルは以下のダウンロードから参照してください。

CVC Implementation record