これまで公表されたCVCのマニュアル、ガイドライン、テキストでは、CVCの実施体制についてどのように記載されているでしょうか。以下、目についたガイドライン等とその抜粋をあげました。

Practice Guidelines for Central Venous Access 2020: An Updated Report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Central Venous Access

Apfelbaum, Jeffrey L., et al. “Practice Guidelines for Central Venous Access 2020 An Updated Report by the American Society of Anesthesiologists Task Force on Central Venous Access.” (2020): 8-43.

https://anesthesiology.pubs.asahq.org/article.aspx?articleid=2757444

  • 皮膚消毒には禁忌でなければクロルヘキシジンの使用を推奨する。
  • 挿入部位は汚染または汚染する可能性がある領域(熱傷、感染、鼡径、気切付近)は避けること、感染リスクを最小にするため上半身からの挿入することを推奨する。
  • 穿刺挿入部を守るために透明なbioocclusive ドレシングを使用すること
  • クロルヘキシジン含侵ドレシングは使用できるが、びらん、アレルギー、壊死の徴候を毎日観察すること。
  • 穿刺前にエコーで静脈を評価すること
  • リアルタイムエコーガイドは内頚静脈穿刺はもちろん、鎖骨下静脈、大腿静脈でも利用できる。
  • 穿刺時に血液の色と拍動性の逆流の有無で静脈かどうか評価してはならない。
  • ガイドワイヤーの静脈内留置を、エコー、経食エコー、心電図モニター、X線透視などで確認すること。
  • カテーテル先端位置はできるだけ早く評価すること。
  • ダイレータまたはカテーテルを動脈内に留置した場合は、すぐに抜かないで一般外科、血管外科、IVRなどにコンサルトすること。

安全な中心静脈カテーテル挿入・管理のためのプラクティカルガイド 2017 (2017 年 6 月改訂 公益社団法人 日本麻酔科学会 安全委員会)

http://www.anesth.or.jp/guide/pdf/JSA_CV_practical_guide_2017.pdf

  • 中心静脈カテーテルの安全な挿入と管理のためには、標準化された教育、シミュレーション、教育指導体制が必要である。特に、 Real-time approach は、シミュレータで十分にトレーニングしてから、臨床での穿刺に臨む。
  • 中心静脈カテーテル挿入の手技的な上達のために、エコーガイド下穿刺を積極的に適用すべきである。
  • ランドマーク法の前にPrescanを行った場合、エコーによって標的静脈の位置を確認していることから、分類上はエコーガイド法となる。よって、本稿では、全ての中心静脈穿刺においてエコーガイド法を推奨する。
  • 最近、エコーガイド下鎖骨下静脈穿刺 の有用性のエビデンスが蓄積されてきた。しかし、現時点では熟練者による穿刺でのみ高い成功率・低い合併症発生率を示せている。このため、初心者による安易な穿刺は慎まなければならない。

 

静脈経腸栄養ガイドライン-第3版-(日本静脈経腸栄養学会 編集)

https://www.jspen.jp/wp-content/uploads/2014/04/201404QR_guideline.pdf

  • 感染防止のためには、鎖骨下静脈穿刺を第一選択とする。
  • 穿刺時の安全性の面からは、PICC(peripherally inserted central catheter:末梢挿入式 中心静脈カテーテル)の使用が推奨される。
  • 穿刺回数の減少および機械的合併症の減少のためには、エコーガイド下穿刺法が有用である。
  • CVC 挿入に伴う合併症について熟知しておく。
  • CVC 挿入時には急変対応ができる体制をとる。

 

中心静脈カテーテル挿入(CVC)に関する指針(改定第3版)2020年(公益財団法人 日本医療機能評価機構 認定病院患者安全推進協議会 CVC検討会)

https://www.psp-jq.jcqhc.or.jp/download/7016?wpdmdl=7016&refresh=5f070e7e05c5a1594297982

 

Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections, 2011
血管内カテーテル関連感染防止 CDCガイドライン2011

https://www.cdc.gov/hai/pdfs/bsi-guidelines-2011.pdf

http://hica.jp/cdcguideline/bsi-guidelines-2011jp.PDF (日本語翻訳版)

  • 感染性の合併症を減らす中心静脈留置の推奨部位と機械的な合併症(例えば気胸、鎮骨下動脈穿刺、鎖骨下静脈裂傷、鎖骨下静脈狭窄、血胸症、血栓症空気塞栓症とカテー テルの誤留置)の起こる危険性に対してのリスクとベネフィットを比較検討してください。
  • 成人患者での中心静脈アクセスは大腿静脈の使用を避けてください。
  • 成人患者では非トンネル化CVカテーテル留置で感染のリスクを最小にするために、内頚静脈や大腿静脈ではなく鎖骨下静脈を使用してください。
  • 中心静脈カテーテル留置に超音波が利用できるならば、血管内留置試技回数や機械的 合併症を減らすために、エコーガイドを使用してください。エコーガイダンスは、その技術を完全に訓練された者によってのみ使用されるべきです。
  • CVカテーテル、PICCの挿入またはガイドワイヤーを使用した交換時に、キャップ、マ スク、滅菌ガウン、滅菌手袋、大きな滅菌フルボディドレープの使用を含む高度滅菌バリ アプレコーションを使用してください。

 

輸液カテーテル管理の実践基準 (日本VADコンソーシアム 編 南山堂 2016年)

  • 医療従事者は輸液治療を行うにあたり、リスクの高い患者や疾患を明確にし予防措置を講じることで、安全性の改善や予防可能な有害事象の減少を図る。
  • 中心静脈留置アクセスデバイス(PICC,CVC,CVポート,トンネル型CVC)を挿入する際には、原則としてセルジンガー法を用いる。

 

ICUブック 第4版 Paul L.Marino  監訳 稲田英一 メディカル・サイエンス・インターナショナル 2014

  • 覚醒している患者は頸静脈に留置されたカテーテルによる不快感と頸部の可動性の制限をしばしば訴えるので、意識がある患者に対しては、ほかの中心静脈アクセス部位を考慮すべきだろう。
  • PICCを留置した患者の2~11%に上腕部の腫脹を伴う閉塞性血栓症を発症したと報告されており、静脈血栓症の病歴がある患者および癌患者で最も発生率が高い。PICCに起因する敗血症は1件/1000カテーテル挿入日の割合で発生しており、これは中心静脈カテーテルに起因する感染症の発生率とほぼ同じである。

 

Guideline:Clinical practice guidelines for the management of central venous catheter for critically ill patients

Zhang Z et al. J Emerg Crit Care Med 2018;2:53.

http://jeccm.amegroups.com/article/view/4357/4969

 

International evidence-based recommendations on ultrasound-guided vascular access.

Lamperti M et al. Intensive Care Med. 2012 Jul;38(7):1105-17.

  • インプレーン/長軸像穿刺によるリアルタイムエコーニードルガイダンスは、針の配置の確率を最適化する。
  • ニードルガイドは初心者にとっては成功率を向上させるために使うことができる。
  • エコー機器には記録や教育のための画像保存機能を有しているべきである。
  • エコーガイドによる血管アクセスは臨床的な利益、最終的なコストの低減、カテーテル関連血流感染低減、血栓化した部位からの刺入回避、試行回数低減、挿入の失敗の回避、機械的合併症低減のために使用されるべきである。

 

Guidelines: Association of Anaesthetists of Great Britain and Ireland Safe vascular access 2016

Bodenham et al. Anaesthesia 2016; 71: 573-585.

https://www.aagbi.org/sites/default/files/Safe%20vascular%20access%202016.pdf

  1. 病院は、効果的でタイムリーかつ安全な血管アクセスを患者に確実に提供するための体制を確立すべきである。
  2. すべての病院は、血管内カテーテルの挿入から除去への明確な文書を含む、特定の方針を持たなければならない。
  3. 臨床医は、血管アクセスの提供、訓練、監督において積極的でなければならない。
  4. エコーは、内頸静脈中心静脈カテーテル挿入のために日常的に使用されるべきである。作業部会は、他のすべての中心静脈アクセス部位でのエコーの使用を推奨するが、現時点では証拠が限られていることを認識している。
  5. 中心静脈カテーテル挿入のためのランドマーク法は、エコーが利用できない、または使用できない稀な場合に有用である。
  6. 動脈または末梢静脈カテーテル挿入が困難であると判明した場合、エコーの使用を早期に検討すべきである。

 

Guidance on the use of ultrasound locating devices for placing central venous catheters

National Institute for Clinical Excellence (NICE) Technology appraisal guidance [TA49] Published date: 04 October 2002

https://www.nice.org.uk/guidance/ta49

  • 2次元(2-D)イメージングエコーガイダンスの使用は、CVC挿入が選択的または緊急事態のいずれかで必要とされるほとんどの臨床的状況において考慮されるべきである。
  • 2次元(2-D)イメージングエコーガイダンスを使用してCVCを留置することに関与するすべての者が、適性を達成するための適切な訓練を行うことが推奨される。

 

中心静脈カテーテル穿刺挿入手技に関する安全指針の策定と順守 目標3b. 危険手技の安全な実施 How to guide 医療安全全国共同行動企画委員会

https://kyodokodo.jp/index_b.html

推奨する対策

  1. TPNとCVC留置適応の厳格化(1)適応病態(2)適応外病態(3)リスク評価チェックリストの使用とその対応
  2. 安全な穿刺手技等の標準化(1)感染防御策の徹底(2)セルジンガーキットの使用(3)モニター機器・緊急資機材の準備(4)多数回穿刺の回避(5)透視化操作(6)エコーの使用
  3. 安全手技の教育体制の構築
  4. 医療安全管理者が中心となり、主に看護部でCVC挿入実施調査票を記録する。