原因・機序

  • 胸管を穿刺針やガイドワイヤーで傷つけ乳びが胸腔内に流入する。
  • 右側からのアプローチでも発生することがある(胸管は細いが右側にもある)。
  • 上大静脈やそれに近い静脈が血栓閉塞しリンパ管の圧が高まり乳びが胸腔内に流入する。

合併症が発生したことを示す所見

  • 呼吸苦、頻呼吸などの症状、血圧低下、sO2低下などのバイタルサインの変化がある。
  • X-pで胸腔に液体貯留を認める。胸水の成分がリンパ球優位の高脂質である。

鑑別・検査

  • X-p、CT、エコー、胸水穿刺

起こりうる臨床経過

  • 緊張性の乳び胸、ショック、呼吸不全に進展することがある。
  • 乳びの流入が改善せず長期にドレナージが必要となることがある。
  • 上大静脈閉塞から胸腔に加え心嚢内にも乳びが貯留し、心タンポナーデに進展する可能性がある。

対処・拡大防止措置

  • カテーテルを抜去する。
  • 胸腔ドレナージを施行する。
  • 重症であればICU移送を検討する。
  • 大静脈に血栓閉塞を認めれば抗凝固療法・血栓溶解療法を検討する。
  • 中鎖脂肪酸の制限が乳び低下に有効なことがある。
  • 長期化すれば胸管の結紮が必要になる。

合併症の重篤度

  • 3:死亡することはまずないが相当な治療を必要とする

予防法

  • 鎖骨下穿刺は右側を第一選択とする。
  • 血栓閉塞を避けるためカテーテルの長期留置は避ける。
  • 血栓閉塞のリスクがある患者では抗凝固療法を考慮する。

院内準備体制

  • 迅速な画像検査とドレナージができること。

参考資料

 

  • 胸腔から排液した乳びの例

 

  • 4年にわたってカフ型透析用カテーテルの入れ替えで透析を行っていた患者に発生した、上大静脈閉塞からの乳び胸と乳び心嚢水の例(Livesay, James, Isaac Biney, and J. Francis Turner. “Chylothorax and Chylopericardium: A Complication of Long-Term Central Venous Catheter Use.” Case reports in pulmonology 2019 (2019).)