原因・機序

  • 穿刺時、ガイドワイヤー挿入時、ダイレータ挿入時、カテーテル挿入時のどこかの段階で、静脈または動脈を損傷し胸腔内に出血する。
  • 胸腔内は低圧腔であるため、胸腔内に出血した血液は静脈性出血であっても大量に貯留しやすい。
  • カテーテルが胸腔内に留置または逸脱したのち、カテーテルを抜去したことで胸腔内に血液が貯留する。
  • 内胸静脈または内胸動脈への迷入から血管損傷となり胸腔内に血液が貯留する。
  • カテーテル管理中に先端部の機械的刺激・輸液の化学的刺激により血管壁がびらん・壊死・穿孔し胸腔内に出血する(内頚または鎖骨下から挿入されたカテーテル先端は、成人では頭、首、呼吸によって2cm動く)
  • カテーテル抜去時に血管を損傷し流出した血液が胸腔内に貯留する。
  • 椎骨動脈誤穿刺などから血腫形成となり血腫の圧で胸郭の壁側胸膜が穿破する。
  • ガイドワイヤーが奇静脈に迷入し穿破することで、胸腔内に血液が貯留する。
  • カテーテル先端が上大静脈に押し付けられるようにして固定され、血管壁が脆弱になり胸腔に穿破する。
  • 上半身からのカテーテル留置後、キャッチボールや体操など激しい運動を繰り返すことで、血管壁がカテーテル先端で穿通し発症する。

合併症が発生したことを示す所見

  • 呼吸困難、胸部不快感、血圧低下、頻拍、貧血など血胸に伴う症状、バイタルサインの変化、血液データ異常がある。
  • X-p・エコー・CTなどで胸郭内の液体貯留を認める。
  • 造影CTで血管外漏出の所見がみられる。
  • 胸水の試験穿刺でHb濃度の高い血液が引ける。
  • 胸腔内に血液が貯留した状態でカテーテルが胸腔内に迷入していると、カテーテルからの逆血が血性となり、血管内と誤認する可能性がある。

鑑別・検査

  • X-p、CT、エコー、血液データ

起こりうる臨床経過

  • 循環血液量減少性ショックから致死的となりうる。
  • 凝固異常・抗凝固療法中・抗血小板剤内服中の場合、止血困難となりやすい。
  • CVカテーテル留置後数日してから血胸が顕在化する場合がある(delayed haemothorax)。

対処・拡大防止措置

  • 貯留血液量が多量であればドレナージする。
  • バイタルサインと血液データをチェックし輸血を考慮する。
  • 凝固異常があればFFPなどの血液製剤を投与する。重症であればICUへの移送を検討する。
  • 動脈穿刺となった場合、確実に圧迫止血する。
  • 出血がコントロールできない場合、外科的な修復を検討する。

合併症の重篤度

  • 5:死亡する確率が多分10%以上

予防法

  • 傷害程度軽減のため大径の穿刺針は避け穿刺針は皮下では横に動かさない。
  • 深部の動脈誤穿刺を防止するためなるべく長針は使用しない。
  • 凝固異常、肝硬変、抗凝固療法中、抗血小板剤内服中の患者では慎重にCVCの適応を検討する。
  • カテーテル先端が血管壁に強く押しつけられていないことをX-pで慎重に確認する。
  • 左上半身(左内頚静脈、左鎖骨下静脈、左腋窩静脈、左尺側皮静脈)からの挿入はなるべく避ける。
  • 凝固異常・抗凝固療法中・抗血小板剤内服中の患者では慎重にCVCの適応を検討する。
  • エコーガイド下穿刺・X線透視下操作で実施する。

院内準備体制

  • 迅速に画像検査ができること。
  • 血胸の診断とドレナージ処置ができること。
  • 血液製剤投与が迅速に可能であること。
  • 院内急変対応システムが常時稼働していること。

参考資料

  • 右多量血胸、ドレナージ前

  • ドレナージ後

 

  • テシオカテーテル(カフ型透析用カテーテル)挿入時の皮下血腫と血胸