原因・機序

  • 頚部_内頚静脈穿刺、鎖骨下_腋窩静脈穿刺、鎖骨上_鎖骨下静脈穿刺で深く穿刺し、穿刺針が気管を穿刺する。
  • ダイレータ、シースイントロデューサーなどが後縦隔に刺入され、気管支に穿通し、カテーテルが誤留置される。
  • 内頚静脈穿刺、鎖骨下静脈穿刺、腋窩静脈穿刺において、気管まで到達するような長針を使用した場合に発生する。

合併症が発生したことを示す所見

  • 穿刺時に空気の吸引がみられる。
  • 穿刺時に気道分泌物が吸引される。
  • 呼吸困難、皮下気腫、喀血などの臨床症状がみられる。
  • X-p、CTで軟部組織内に空気がみられる。
  • 気管挿管・人工呼吸器管理中で気管チューブのカフを穿破した場合、カフ圧が上がらず、リークアラームが鳴る。
  • 気切チューブのカフを穿破した場合、カフ圧が上がらない、エア漏れのノイズが聞こえる。
  • 気管-食道ろうとなった場合、痰を伴う咳、窒息感、食物残差逆流などの症状を呈することがある。

鑑別・検査

  • X-p、CT、人工呼吸器のアラーム

起こりうる臨床経過

  • 気道内に多量の血液が流入すれば、呼吸不全や窒息状態となる。
  • カフリークにより呼吸サポート不全となり呼吸状態が悪化する。
  • 高い気道内圧で人工呼吸器管理されていた場合、気管損傷が縦隔気腫や皮下気腫を生じさせることがある。
  • 気管-食道ろうとなる場合がある。

対処・拡大防止措置

  • ICUなどで慎重に経過観察する。
  • 誤留置されたカテーテルは手術室で胸部外科・呼吸器外科などの待機の元、抜去する。
  • 呼吸状態が悪化すれば気管挿管し気道を確保する。
  • 気管チューブ・気切チューブのカフを穿破した場合はチューブの入れ替えが必要になる。

合併症の重篤度

  • 4:死亡する確率は多分10%以下だが死亡する例がある

予防法

  • 深く穿刺しない。
  • エコーガイド下穿刺で穿刺する。
  • X線透視下でガイドワイヤー・ダイレータ・カテーテルは操作する。
  • 穿刺針は可能な限り短針を使用し、なるべく長針は使用しない。

院内準備体制

  • 必要時に緊急気管挿管ができること。またそうした緊急対応システムが常時稼働していること。
  • ICU部門があること。

参考資料

  • 右内頚静脈から透析用カテーテルを挿入したあとに発生した気管-食道ろうの例(Mahadi, SeifEldin I., et al. “Case Report An iatrogenic tracheoesophageal fistula in an elderly patient complicating a central venous catheterization procedure: a case report.” Sudan Med J 54.1 (2018): 75-79.)

 

  • 非エコーガイド下、非X線透視下で挿入されたカフ型透析用カテーテルが後縦隔に迷入し右主気管支に穿通・誤留置された事例。多量の喀血が契機で発見された。(Ghoddusi Johari, Hamed, et al. “Massive hemoptysis following cannulation of right internal jugular vein for insertion of cuffed hemodialysis catheter: A rare complication of central venous catheterization.” The Journal of Vascular Access (2020): 1129729820910304.)